HOME秋田スギざんまい>「秋田杉」と「秋田スギ」の表記の違い

「秋田杉」と「秋田スギ」の表記の違い

「秋田杉」と「秋田スギ」、表記がまちまちなのですが、何が違うのでしょうか? また、どうしてでしょう?

これについては、木材業界誌『秋田木材通信』(秋田木材通信社発行)平成19年3月10日号に、興味深い記事がありました。以下、許可をいただいて引用します。

◇ 秋田杉と秋田スギ【1】

去る2月16日、秋田県や秋田県木連が主催して東京都内で開催された「秋田スギ需要拡大情報交換会」の質疑でのこと。出席していた首都圏秋田県人会連合会の関係者が質問を発し「本当に秋田スギはいいのか、わからない」などと語ったのち、秋田杉をめぐる表記の揺れを指摘。確かに指摘のとおり、会場正面に掲げられた横幕には「秋田『スギ』需要拡大情報交換会」とあり、スギはカタカナだが、そのすぐ横で秋田国体をPRするのぼりは「秋田わか『杉』国体」で、杉は漢字。当日配布された企業紹介の冊子でも漢字表記の「秋田杉」とカタカナ表記の「秋田スギ」が入り乱れている。秋田の杉を視覚的に表現する、いわば「ロゴ」には、統一した表記はない。ちなみに当日プレゼンテーションをおこなった会社について企業紹介の資料を見てみると、秋田「杉」8社、秋田「スギ」6社、杉とスギが混在しているのが3社だった。

◇ 秋田杉と秋田スギ【2】

漢字かそれともカタカナか。動植物の名前は、日常生活では漢字で書くのが一般的だろう。スギという漢字は学校で習う。しかし、学問の世界では動植物名は必ずカタカナで表記している。漢字やひらがなは使わない。これを受けてのものだろうか。後述するごく一部の例外を除き、役所の公用文では動植物名はすべてカタカナ書き。民有林行政は、秋田杉と漢字で書いたりしない。カタカナ書きの「秋田スギ」で統一。マスコミの表記基準もまた、本紙では採用していないが、動植物名はカタカナ書きを原則としている。しかし、官公庁にも例外はある。国有林の公売公告だ。秋田県以外の杉や、最近は秋田県内でも人工林杉の立木については「スギ」とカタカナ書きしているが、杉の頭に秋田とつけば、 必ず「秋田杉」「天然秋田杉」とオール漢字。中途半端な「秋田スギ」という表記は、局署のホームページなどでこそ見られるものの、公売公告では使われていない。国有林はただの「スギ」と「秋田杉」を使い分けしていると言えよう。

◇ 秋田杉と秋田スギ【3】

漢字で書く「秋田杉」とは、果たして単なる植物名なのだろうか。漢字書きの秋田杉について、こちらは思う。秋田杉とは植物名を超えた存在、つまり「ブランド」の名称だ。井坂直幹が能代で機械製材を始めたのが19世紀末。それ以来秋田産地が一世紀以上かけて築き上げ、全国的にしっかり定着した銘柄の名前だと思う。それに対してカタカナ混じりで書く「秋田スギ」は、植物であるという面が強調されている。植物としてのスギで、秋田県内で育ったから産地名を付け加えて秋田スギ。行政の用語としては正しいのかもしれないが、いまいちしっくりこない。歴史性、銘柄性が感じ取れない。この稿の前段で、マスコミ関係はカタカナ書きが原則と記したが、本紙はよほどのことがない限り、漢字書きの秋田杉で統一している。

◇ 秋田杉と秋田スギ【4】

この稿の一段目で「秋田の杉を視覚的に表現する、いわば『ロゴ』には、統一した表記はない」としたが、確かに全体を統一する表記こそないものの、二段目で見たとおり、民有林行政は「秋田スギ」で、国有林は「秋田杉」で統一している。そういう目で改めて見てみると、秋田「杉」派は国有林地帯の業者、秋田「スギ」派は民有林地帯の業者、あるいは民有林行政とのつながりが深い森林組合、協同組合関係という気がしてくる。もちろん例外は多く、国有林地帯のど真ん中にもカタカナ派はいる。ともあれ、かつて秋田産地、および全国の秋田材流通業者は、国有林から産出された天然秋田杉のことを「官木」人工林杉は国有林から産出されたものであっても「民木」と呼んだとか。秋田杉と秋田スギは、もしかすると官木、民木の現代版のようなものかもしれないなどと思っている。 (引用終わり)

・・・と言うように、秋田の木材産業界の中でも企業によってそれぞれで、統一した表記にはなっておりません。秋田県農林水産部秋田スギ振興課関係者によりますと、非常に高樹齢の「天然材」(これは“天杉”と呼ばれています)と、主に戦後人工植林された「造林材」を、行政上、使い分けたのが始まりのようです。秋田の杉は高齢級の天然材と若齢級の造林材で用途や市場が違うことが多いので、取引や資源管理の場面などで混乱や誤解を避けるには、そのような線引きが必要なこともあるのでしょう。

同(その2)を読む

このページの一番上に戻る

秋田スギざんまいへもどる

Copyright © AKITA SUGI NO OUKOKU. All Rights Reserved.