「秋田杉」と「秋田スギ」の表記の違いについて、追加の記事をご紹介します。
木材業界誌『秋田木材通信』(秋田木材通信社発行)平成19年3月17日号です。
以下、秋田木材通信社さんのご好意で、また引用させていただきます。
去る2月上旬、能代市内で開かれたある講演会で、たいへん耳の痛いことを指摘された。秋田杉のブランド構築活動についてのものだったが、講師いわく「皆さんが話している秋田杉の特徴って、すべて天然秋田杉のものでしょう?それって嘘なんじゃないの?」。 秋田杉ブランドについての既成概念と、現実の秋田杉製品には大きなギャップがある、天然秋田杉と造林秋田杉は同じ土俵では語れない、なぜ造林杉そのままの魅力を引き出せないのかなどとつづけ、ブランドの信頼は一度失ってしまうと簡単には取り戻せないとも語った。
天然秋田杉と秋田杉について、現在の呼称に変更されたのは昭和57年4月。実際の議論は前年56年に繰り広げられた。それに至る時代背景を探ってみよう。かつての秋田産地の主力資材、今でいう天然秋田杉の収穫量は減少が予定されており、その後継樹である、 当時でいう造杉、現在の秋田杉の利用開発が進められていた。そうした中、秋田県北木材センターの52年初市で、新しい規格と22種類の仕訳による「造杉の十尺割角」が大量出品でデビューし、その後、とくに九州方面などに販路を急拡大しながら、破竹の前進をつづけた。60年生上の「造杉」は、年ごとに評価が高まり、名実ともに秋田産地の主力資材となった。そして、いつまでもこれを造杉、造林杉と、卑下したような呼び方をしていていいのかという問題意識が高まり、当時の秋田県木連、秋田県森連、秋田営林局、秋田県林務部などが検討を進め、今の呼称が決まった。
当時の造杉、今でいう秋田杉は主に国有林から生産・供給され、その量は立木材積で50万?を超えていた。しかも国有林に限って言えば、伐期は60年生上だが、樹齢の平均は68年に達していたという。 平均で68年ということは、今でいう高樹齢秋田杉、70年生上が、かなりのボリュームで生産されていたと見ていい。秋田杉の原木事情は呼称を定めた当時と現在では、まったく様変わりとなっている。
今回、呼称変更を議論した当時の材通記事をひもといてみて、一つの驚きがあった。実は、製品表示に対する考え方が、いつの間にか大きく変わっているようなのである。当時の材通記事によると、それまでの造杉、今でいう秋田杉から取った製品の表示については「天然秋田杉に準ずる品質を持つ役物を『秋田杉』と表示し、それ以外のものには『杉(産地名)』と表示する」とされている。これにより、それまでの「造杉十尺割角」が晴れて「秋田杉十尺割角(割柱)」となり、造杉時代に突入した秋田産地の看板となったが、 秋田県産のスギから取った製品であれば自動的に秋田杉製品になるわけではない。並材の表示はすべて、ただの「杉」とする予定だった。役物であって、秋田天杉の後継としてふさわしい品質を持つものだけが「秋田杉」と名乗ることを想定していたわけである。これは大きな発見だった。
呼称問題が議論されたのは昭和56年だから、今から26年も前になる。当時と比べて、役物の需要はすっかり細かくなった。一方で戦後植栽木の間伐の推進は急務。秋田もまたスギ若齢木を活用し、現在の需要にマッチした製品を売りまくることが求められている。この際、全国に知れ渡っている日本三大美林秋田杉の知名度を利用するのは、ある意味で得策ではあろう。しかし、先人が長い間かけて築き上げた銘柄材秋田杉と、最近の秋田スギ間伐材製品では、耳で聞く分には同じだが、内容は著しく異なっている。秋田杉ブランドへの信頼を傷つけてしまわないだろうか。「秋田県産のスギだから秋田スギ」というのは、正直に言って抵抗を感じる。樹齢70年以上が秋田杉でそれ以下は秋田県産スギとか、何らかの制約を設けたほうがいいのではないか。産地も限定した方がいいかもしれない。極論だが、青森県産の秋田杉があってもおかしくない。青森県産であっても、大鰐産の天杉は天然秋田杉として高く評価されている。(引用終わり)
・・・いかかでしたか? まだよく分からないかもしれません。結局のところ、統一はなかなか難しそうです。本サイトでは、目安として、次の二つを使おうと心掛けています。
◇天然秋田杉: 秋田に自生する天然の高樹齢の杉(例えば樹齢150年など)
◇秋田スギ: 秋田で育成した造林(人工植林)の杉(樹齢70年などの高樹齢のものもあります)
しかし、天然と造林はどこで区別するか、県境の杉など生物学的に何ら変わらないものも秋田杉と呼ぶかどうかなど、いろいろな判断があり、表記は混在したままです。ゴメンナサイ!
写真: 濃い緑色の真っ直ぐな樹木が天然秋田杉です。(秋田県能代市)
落葉広葉樹が混じる豊かな林相に、天然秋田杉がニョキっと飛び出して見えます。

写真: 天然秋田杉です。
本サイト「壁紙ダウンロード」内にファイルがあります。

秋田スギ(造林)です。造林スギの森も本当に美しいです。
写真: 秋田県南秋田郡五城目(ごじょうめ)町の森山(もりやま)山頂から撮影。
(参考)秋田県能代市二ツ井町で、樹高日本一と言われる杉や樹齢180〜300年程度の秋田天然杉群に会うことができます。本サイト「秋田スギざんまい」内の「トピック:日本一の秋田杉!!」をご覧ください。
Copyright © AKITA SUGI NO OUKOKU. All Rights Reserved.